コレクション: 乾 靖史

乾 靖史 有限会社乾木工
乾 靖史

自動挽物師

北里大学 獣医畜産学部を卒業後、植物センター等を経て小田原の有限会社すぎにて技術を身につける。
2013年 有限会社乾木工 設立。自動旋盤を用いた量産可能な小さいろくろ細工を得意とし、挽物のパーツや愛らしい動物の日用品を製作しています。

小田原市曽我原 有限会社乾木工
乾 靖史

手挽きだからこそ伝わる木のぬくもり。木の声を聞きながら、実直につくり続ける。

手に取った瞬間、機械仕上げとは異なる滑らかさと温かさがある。それが白鳥さんの手挽きが生み出す木の肌触りです。
木の種類によって刃のあて方を変え、削る音を聞き分ける。駿河で挽物職人として技術を振るう白鳥さんは、代々続く「くりもの家系」の3代目です。
初代が臼を挽いていたという家に育ち、20歳でお父様に弟子入りして以来、現在まで40年以上にわたり木と向き合い続けてきました。
しかし、「やっとできるようになった」と感じたのは、修業を始めてから長い年月が経ってからのことだったと言います。手神の「五色けん玉」には、その繊細な手挽きの技術がいかんなく発揮されています。

 

けん玉のパーツを精緻に削り出す白鳥博之氏。手挽きろくろによる職人技の木工加工風景。

 

「刃物も自分で作れ」。
木肌を見極める道具へのこだわり

 

「手挽きの良さは、機械の刃が入らない所まで刃を当てられること。ツルツルとしたぬくもりのある仕上がりを目指しています」と白鳥さんは語ります。
機械加工では均一な形は作れても、微妙な曲面の調整や、手が触れるたびに馴染んでいくような滑らかな仕上がりは生み出せない。そのぬくもりを生み出すために、白鳥さんは道具を自分で揃え、刃を自ら打つところから始めます。

師匠の「刃物も自分で作れ」という教えの下、同じものを作ったつもりでも違う道具になってしまう難しさと向き合いながら、1mm以下の単位で細かく調整を重ねていきます。
修業時代、お父様は手取り足取り教えてくれることはなく、見て覚える日々だったそうです。
「怒られはしないけれど教えてもくれない環境だったからこそ、自分で考え抜いたことで、教えてもらうよりも早くできるようになったと思う」と振り返ります。

肩たたきの柄をひたすら挽いた修業時代は削る木よりも削りかすを見て調整する日々。現在でも本当に満足できる仕上がりのものは「50個に1個あるかどうか」という厳しい目で、自身の仕事を見つめています。

 

駿河挽物の伝統技術で木材を削る白鳥氏と、職人自ら打った特注の刃物。手挽きならではの精密なものづくり。

 

木の種類によって、刃のあて方や聞こえる音は大きく変わります。
水木やホウ、カツラといった軽い木材はサクサクとした音が鳴り、慎重に刃をあてる必要があります。一方、桜のように脂分や粘りがある木材では、刃を押し込むような感覚で削っていくと言います。
ほかにも柿や屋久杉、ケヤキなど、さまざまな木材の特徴を捉え、その木に最適な形を引き出していきます。希少な木材を扱う際は、失敗できないという静かな緊張感があるそうです。


 

手神の「五色けん玉」に使用される寄木パーツと、手挽きろくろで誤差なく均一に削り出されたさお・皿。

 

他分野の職人との共創で生まれた「五色けん玉」

 

手神の「五色けん玉」は、白鳥さんの手挽きと、小林じゅんのさんによる寄木が組み合わさって生まれた作品です。
けん玉の本体部分を白鳥さんが手挽きで仕上げ、玉を彩る寄木はじゅんのさんが担当し、白鳥さんが球体へと形づくります。
異なる専門を持つ職人同士が意見を交わしながら進める、白鳥さんにとって初めてのコラボレーションとなりました。他の職人たちとの共創は大きな刺激となり、自身の成長やインスピレーションに繋がったと言います。

デザインのポイントの一つは「さおと玉の隙間をあけないこと」。

取り外しができる構造でありながら、外から仕組みが見えないように工夫されています。隙間なく収まることで美しい外観と、手に持った時の一体感が生まれるけん玉本来の使い心地とを両立しています。曲線や仕上げの質感は手作業ならではの上品な仕上がりを目指しました。シンプルに見えて機械で作るのが難しい形です。また、寄木の仕上がりの紋様がどのようになるか、想像がつかない楽しさがあったと語ります。

 

自作の道具が並ぶ白鳥工房で「五色けん玉」を持つ挽物師・白鳥博之氏。職人のこだわりが宿る木製品。

 

同じものを作る仕事から、自由なものづくりへ

 

これまで、アンティーク時計の修復やテーブルの脚など、難易度の高い仕事も「めんどくさいと言うと終わってしまうから」と前向きに引き受けてきた白鳥さん。実直に技術を磨き求められるものを作ってきた一方で、これからの展望については「自分が作りたいものを、自由に作ってみたい」という想いを膨らませています。

「個展を開き、いろんなコップを作って並べてみたい。その木材に相応しい器を作りたいんです」。これまで「同じものを精緻に同じように作る」仕事を続けてきたからこそ、終わりがない自由なものづくりへの欲求が湧き上がっているようです。

仏具を作る時も、器を作る時も、根底にある想いは変わらない。使い手にとって使いやすく、質の良いものをなるべく手頃な価格で届けたい。「あ、これは白鳥さんが作ったものだ」と気づいてもらえたら嬉しいと、控えめに語ります。
手挽きだからこそ表現できる木本来のぬくもり、そして職人同士の共創から生まれた「五色けん玉」を、ぜひ手に取ってその仕上がりを確かめてみてください。

木傘 | 乾 靖史  | 手神(てがみ)
木傘 いぬ 水木×白
木傘
価格
¥9,900¥11,000
きねんの家
きねんの家
きねんの家
価格
¥1,980¥4,950

作り手

斎藤木工所 斎藤久夫

斎藤 久夫

伝統技術で木を削り出す熟練の挽物師・白鳥博之氏。轆轤と向き合う白鳥工房での真摯な製作風景。

白鳥 博之

小林木工 小林じゅんの

小林 じゅんの

木工房千舟 岩宮千尋

岩宮 千尋